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連載企画

脇役なんて呼ばせない! 第3回
ガウル(金沢動物園)

2015年8月19日

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名称
ガウル
生息地
南アジア、東南アジア
サイズ
体長約2.6~3.3m、体重約700~1000kg
エサ
野生下:草、木の葉、タケノコなど
金沢動物園:牧草、木の葉、ニンジン、イモ、ペレットなど
保全状況
IUCNレッドリスト VU(危急)

細身でメガネをかけて、頭を掻き毟ったり、爪を噛んだり。もしかしたら、白衣なんか来ているかもしれない。
マンガなんかに登場するステレオタイプな神経質なキャラクターと言えば、こんな感じの風貌を思い浮かべる人も少なくないんじゃないだろうか。
とは言え、それはフィクションの典型例みたいなものだから、現実には大柄でマッチョな体と神経質な性格を併せ持った人だっているはずだ。

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見た目はドッシリのイチゴだが……
実際に、金沢動物園にはそんな子がいる。まぁ、人ではないけれど。
それがガウルのイチゴ嬢だ。ガウルはインドヤギュウとも呼ばれ、その名前の通りアジアに住む野牛。野生の牛の中でも世界最大級のサイズを誇る大型の種で、オスなら1トンにもなる。

その巨体に見合ったオスメス問わず標準装備の立派なツノや、大きく盛り上がった背中の筋肉を備えた黒いボディはなかなかの迫力。ツノとツノの間にこんもりと生えた毛や、足元だけを彩る白い体毛もまた、その迫力をより際立たせている。

野生下ではその巨体が寄り集まって群れを作って暮らすので、子牛や弱った個体が狙われることはあるが、健康な大人はそうそう外敵に襲われることはない。
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日本で会えるただ一頭のガウル
だから、野生のガウルの死因は寿命や病気、メスや縄張りを巡る仲間内での争いによるケガがほとんどだ。
さて、本来は群れで暮らすガウルだが、金沢動物園のイチゴ嬢は現在一人暮らし。金沢で一人暮らしをしている、というか、実は彼女は日本で唯一のガウルなのだ。そして、日本最後のガウルでもある。

「希少な大型草食動物を中心に飼育・繁殖する」というコンセプトを掲げていた金沢動物園では、開園当初からオスメス1頭ずつのガウルを飼育。ご両人からは8頭の子どもが生まれ、その末娘がイチゴだった。残念ながら父母兄姉はすでにこの世を去り、イチゴだけが残されている。そして、いつか彼女が天国へ旅立つのと同時に国内でのガウル飼育は一旦おしまいとなることが決まっている。


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