特集1

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目指せ繁殖! チャメリーのお引っ越し

2016年9月26日


実は少ない? インドゾウの赤ちゃん

 インドゾウと言えば、動物園で暮らす動物の象徴のような存在だが、実は繁殖が成功した例は決して多くない。国内の動物園で赤ちゃんが生まれ、現在まで生育している例はわずか8件だ。そもそも、初めて子ゾウが生育した事例が、2007年のことだというから驚きだ。

お父さん候補となるボン
 現在、上野動物園で暮らすアジアゾウ(インドゾウはアジアゾウの1亜種)の「ウタイ」が妊娠中で、来年6月から7月ごろの出産を予定しているが、上野動物園でもこれが初めてのケース。

 横浜の動物園でもインドゾウの繁殖を目指してきたが、残念ながらこれまでに実績はない。
 そこで、ズーラシアと金沢動物園でペアを入れ替えて、改めてチャレンジしようという試みが今回の移動の背景にある。


 ズーラシアでは、ラスクマルとシュリーのペアの方が繁殖に至る可能性が高いと判断し、チャメリーの引っ越しに踏み切ったそうだ。
 心苦しさもあると話した藤澤さんだが、「チャメリーやシュリーが子どもを産み、今よりも頭数の多い群れで生活できる環境にしたい、という気持ちから」移動を決定したと話してくれた。
 ズーラシアでは引き続き、ラスクマルとシュリーの2頭での繁殖に取り組んでいくそうだ。

30年を超えるコンビに仲間入りできるか(上)
チャメリーを見送るズーラシアのスタッフ
 そんなわけで、新しい環境へ移ったチャメリー。まずは金沢動物園の環境に慣れていかなければならない。
 そして、新しい環境に置かれるのはボンとヨーコも同じことだ。30年以上一緒に過ごしてきたペアだけに、新しく加わるチャメリーを受け入れてくれるのかもポイントになる。
 金沢動物園の飼育展示係長、恩田英治さんは「相性が合わずにケンカをしてしまったり、ボンとヨーコが居心地の悪さを感じて体調を崩してしまうようなこともあり得ると思います」と話し、「慎重に進めていきたい」と続けた。

 今後の予定としては、チャメリー1頭で展示場に出ることが最初の目標になる。
 それに慣れたら、次は同じメスのヨーコと2頭で展示場へ出すようにして、最終的にはボンも加えた3頭での展示につなげていきたい考えだ。
 また、彼らの繁殖シーズンとなる12月ごろには、ボンとチャメリーの2頭だけでの暮らしを目指すことになる。
 すべてが理想的に進めば、という条件付きではあるが、最速なら来春に妊娠の知らせを聞けるかもしれないとのことだ。

 一方、お父さん候補のボンは10月に40歳を迎える。
 世界的に見ても、アジアゾウの繁殖成功例では15歳から25歳のゾウが多い。恩田さんも「確かにギリギリの年齢ではあります」と認めるが、今でも繁殖期には特有の行動を見せるそうで「まだまだ期待しています」と力を込めた。


目指せ繁殖!

チャメリー、金沢で会いましょう
 動物園の人気者で、象徴的な動物。
 でも、繁殖は思うように進んでおらず、このままだと数十年後には日本の動物園からインドゾウが姿を消してしまうかもしれないとも言われている。

 そんな状況を打破できるか。
 金沢動物園に “ 嫁入り ” したチャメリーにかかる期待は大きい。
 まずは、新しい環境に慣れ、快適に暮らしてもらえるように祈るばかり。恩田さんは、「しばらくはご覧いただくのも不規則になってしまいますが、おめでたいニュースを届けられるように頑張ります。暖かく見守っていただければ」とメッセージを送ってくれた。
 まずは、今秋、チャメリーが金沢の展示場にお目見えする日を楽しみに待っていよう。



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